ビーズからのメッセージ

母から受け継いだ黒のビーズ・フリンジ付きストールがある。


ストールの色、質感からしてそろそろ出番の季節がやってきたので、引き出しから出して手にとって眺めていた。


幅が約50センチ、フリンジ部分が5センチの光沢のある黒のビーズ。


母は使った頻度が多かったのだろうか、所々黒ビーズがほつれ抜け落ちていることに気づいた。


不思議なことに、譲り受けた当初は全くビーズのほつれなど気にせず使用していた。


最近、気持ちにもゆとりが出てきたのか、細かい部分にも目がいき届き、手直しをしてキレイな揺れ感のある元のフリンジにしょうという思いが芽生えた。


そこで、手直しに必要な同じ色とサイズのビーズを買い求めようと思い立った。


しかし、このストールは、20年前私がビーズ刺繍教室に通っていた先生の作品。


もしかして、私の手持ちのビーズと合うのではないかと第六感が働き、久しぶりにビーズボックスを開けてみるとラッキーなことにフリンジ部分の黒ビーズ、サイズ、光沢がマッチしたものが目に入ってきた。


そこで早速、手直しの作業に入ることに。


針に糸とビーズを通している間は、瞑想状態(約40分)で「今、ここ」に集中し、糸を通す音や自分の手の動きなど、ただただその作業に没頭していた。


時間はあっという間に過ぎ、すがすがしい気分とともに、作業を終えた。


手直ししたビーズが違和感なく調和して光り輝いている状態に戻ったことが、嬉しかった。


やはり私は、ビーズが好き。


短時間であるが、達成感と清々しい感覚を味わった瞬間であり、モチベーションも上がってきたことを実感した。


今回のストールの手直しで改めて感じたのは、それは洋服や小物も身体と同じようにメンテナンスしながら、息を吹きかえしていくのだ、ということ。


人、こと、ものからのメッセージを聴き、その時に見合った対処法が必ずあるのだと。


そんな些細なことに心を向け、エネルギーを込めることが、私の至福の時なのかもしれない。


そして、そのような心からの喜びを感じる時間を持つことが、日々潤いのある豊かな生活に繋がっていくように思えた。



そう、幸せは足元から。